【完】こちら王宮学園ロイヤル部
……どうやらこの兄弟、仲が悪いらしい。
いや、本当に仲が悪かったら口喧嘩すらもしない関係なんだろうけど、とにかくふたりの口喧嘩がすごい。
「だから呉ちゃんさっきそわそわしてたの〜?」
「……だって夕帆さんの弟だって知らない感じで南々先輩が話してたから、」
「……呉羽。
お前なんでナナが帰ってきてること知ってて俺に言ってないの?」
「えっ、誤解なんだけど!?
俺もついさっき知ったからほんとに誤解だって……!知ってたらとっくに連絡してるから!」
「ナナに口止めされたとかそういうことじゃなくて?」
「違うって!
夕陽がどれだけ南々先輩のこと好きなのか知ってるのにそんなことしな……あ」
ぴた、と不自然に、時間が止まる。
なぜか静かになった空間で「呉羽」と静かに彼の名前を呼んだ夕陽は、びくりと肩を震わせた呉羽くんの腕を掴むと、足早に部屋を出ていった。
「……好き、ね」
「……盛大に片想い暴露された気分だろーな」
夕帆先輩と莉央がそれぞれ口を開いてるけど。
「好き」という言葉に誰よりも過剰に反応したのはわたしだった。
「夕陽。今も姫のこと好きなんじゃねえの?」
「……好き、より、怒ってるんだと思う」
「怒ってる?」