【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・COUNT DOWN
◆
日曜日、午前10時。
始業式は金曜日だったため、土日は休みで。昨日買い物も済ませたから、あとでレンタルショップに行ってDVDでも借りてこようかな、と。
そう決めていつもよりすこし遅めの朝食に使ったお皿を洗い終え、キュッと水道を止めた時。
ポーン、と鳴り響くのは家のチャイム。
音にまで高級感があるそれはルームフォンのつながる1階ではなく、部屋の前で鳴らされたもの。
普段なら来客にしろ宅配にしろルームフォンでコンシェルジュの男性から連絡が来るのに、と。
扉のチェーンをかけたまま「はい」とおそるおそる開けてみれば。
「えっ……」
予想外の展開に、一瞬驚く。
それから一度扉を閉めてチェーンを外し、もう一度開ける。けれどやっぱり広がる光景は、一度目と変わらなかった。
「おはようございます姫川様。
普段はルームフォンに連絡させていただくのですが、"サプライズにしてほしい"とのことでしたので、念のため同行させていただきました」
そう言ってコンシェルジュの彼が微笑む。
その後ろにはなぜか、ロイヤル部の面々。
「さ、ぷらいず……?」
この状況を理解しきれないわたしに、みんなはくすくす笑ってるけど。
本当にわからない。確かに突然のアポなし訪問にはびっくりした。驚かせるという意味でのサプライズは大成功だと思う。
だから、なんのため?と。
考え込んだわたしと目があったいつみ先輩は。
「お前、今日誕生日だろ」
その一言で、
乱れていたわたしの思考をぴたりと止めた。
そう、か……今日って8月27日か。