【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「甘いこと言ってきたりすんの〜?」
「……夕陽は言葉よりスキンシップ派よ」
「あ〜、やっらしいちゅーしそうだもんねえ」
椛の頭の中じゃ、スキンシップ=キスなんだろうか。
というか、たとえその方程式が彼の中で成り立っているとしても、それはないでしょ。それは。
「あいつ表向きは爽やかアイドルで出てるけど、
普段はすげーがっつりな肉食タイプだよな」
「2コ上のオネーサンに育ててもらった的な〜?
まあでもそこまでいけなかったみたいだけどねえ」
昼間からきわどい話をする椛をジト目で見ていたら、いままでチーズフォンデュを楽しんでいたルアが「いろは詳しいね」と彼を見る。
……言われてみれば、どうして彼はそこまで詳しいんだ。
「誰に聞いたの?」
「呉ちゃん。
仲良いヤツには話しちゃうあたり、夕陽も結構素直なところあるよねえ」
「……それ、夕陽の嘘なんじゃない?」
ほんとは嘘じゃないけど。
わたしが惑わせるようなことを言った途端に、「え!?」とすぐさま声を上げる3人。誰って、椛とルノと夕帆先輩だ。
「は、え、まって……?
まさか南々ちゃん、夕陽に食、われ……?」
「待ってください。
南々先輩が夕陽と付き合ってたのって中3のときですよね?」
どうなの!?という視線に、「さあ?」と言えば、ますます頭を悩ませているようだけど。
もちろん夕陽とはキスしかしてないし、別れてから女性関係がだらしないと噂の夕陽はさておき、わたしにそれ以上の経験はない。