【完】こちら王宮学園ロイヤル部
わたしがそこに入るのはおかしい。
……だってわたしは、普通科の生徒だもの。
「南々瀬」
「……はい」
「お前、転校してくる時に試験受けただろ」
珠王先輩にそう問われて、「受けました」と答える。
それと同時に、ひやりとしたものが背中を這ったような気がした。……珠王先輩に視線を向けられるの、なんだかすごく苦手だ。
「お前が受けたの、特進科の試験らしいな」
……ああ、そうか。
全部"知ってる"からだ。わたしの、ことを。
「結果を見せてもらったが、満点だった。
……お前の成績は、普通科どころか特進科でもトップだ」
「………」
「なんで特進科にしなかった?」
わたしが受けた転校時のテストは、今年の1年生が入試で受けたものと全く同じ。
しかも特進科だから、おそらくルノくんなんかは、入試の際にそれを受けてるはずだ。
「……、両親が好きにしろって」
「………」
「特進科でも、普通科でも、ほかの学科でも。
好きな学科にすればいいって言われていたので、普通科にしただけです。理事長からは特進科を勧められてたので、受けたのは特進科の試験ですけど」