【完】こちら王宮学園ロイヤル部
仕事早すぎだろ、と画面から視線を逸らさずに言う莉央さん。
でもまあ確かに、それは俺も思った。内容を聞いてから資料を見つけて疑問に答えるまでのスピードが異様なくらいに速い。
「え? わたし資料なんか見てないわよ?」
「……は?」
「パソコン見てたのは、あと仕事何が残ってたかな〜って確認してただけ。
備品の数と置き場所くらい頭に入ってるもの」
「……は?」
がっつり。彼の手が止まる。
……いや、莉央さんだけじゃない。全員の手ががっつり止まって、彼女の事を凝視してる。
待って、いま南々先輩なんて言いました?
備品の数と置き場所くらい頭に入ってる……?
「南々先輩……
あの、備品って言っても出し物ごとに使用する数も違いますし、置き場所も違うんですよ?」
軽く何百パターンもある。
1クラスの備品の内容をすべて覚えるだけでも大変なのに、それをすべての出し物で覚えてるなんてそんなこと、あるはずがない。……なのに。
「うん、だから覚えてるって。
全部の出し物に使う備品とその数と、あとは置き場所も答えられるわよ」
「………」
記憶力が良いとか、そんなレベルじゃないんですけど。
もはや超人なんですけどそれ。
「あ、そろそろ芸能科のステージ設営終わる頃ですよね?
夕帆先輩は機材セッティング行かなきゃいけないですし、進歩状況を実行委員に確認しますね」
……そしてスケジュールも頭に入ってる、と。
本当にとんでもない。テストで満点を取るのといいこれといい、南々先輩の頭の中って一体どうなってるんだろうか。