【完】こちら王宮学園ロイヤル部



仕事早すぎだろ、と画面から視線を逸らさずに言う莉央さん。

でもまあ確かに、それは俺も思った。内容を聞いてから資料を見つけて疑問に答えるまでのスピードが異様なくらいに速い。



「え? わたし資料なんか見てないわよ?」



「……は?」



「パソコン見てたのは、あと仕事何が残ってたかな〜って確認してただけ。

備品の数と置き場所くらい頭に入ってるもの」



「……は?」



がっつり。彼の手が止まる。

……いや、莉央さんだけじゃない。全員の手ががっつり止まって、彼女の事を凝視してる。



待って、いま南々先輩なんて言いました?

備品の数と置き場所くらい頭に入ってる……?




「南々先輩……

あの、備品って言っても出し物ごとに使用する数も違いますし、置き場所も違うんですよ?」



軽く何百パターンもある。

1クラスの備品の内容をすべて覚えるだけでも大変なのに、それをすべての出し物で覚えてるなんてそんなこと、あるはずがない。……なのに。



「うん、だから覚えてるって。

全部の出し物に使う備品とその数と、あとは置き場所も答えられるわよ」



「………」



記憶力が良いとか、そんなレベルじゃないんですけど。

もはや超人なんですけどそれ。



「あ、そろそろ芸能科のステージ設営終わる頃ですよね?

夕帆先輩は機材セッティング行かなきゃいけないですし、進歩状況を実行委員に確認しますね」



……そしてスケジュールも頭に入ってる、と。

本当にとんでもない。テストで満点を取るのといいこれといい、南々先輩の頭の中って一体どうなってるんだろうか。



< 350 / 655 >

この作品をシェア

pagetop