【完】こちら王宮学園ロイヤル部



……なんて、いうか。

落ち着かないのはよくわかるけど。



「……ななせは、がんばりやさんだね」



「明日早くに来るのがメンドーだから、今日だけは部屋に泊まるとか言ってたしなー。

そんな気ぃ張る必要ねーのに」



明らかに頑張りすぎている彼女。

告白した日から何かが変わるかと思いきや、こうやって南々先輩が日々走り回っているのと個人の仕事があるせいで、誰一人としてロクに話せていない気がする。



「……今のうちに少し休むか」



いつみ先輩のそのセリフで、全員手を止める。

毎年忙しいのは聞いて知っていたけど、まさかこれほどとは思わなかった。



夕さんは機材のセッティングに責任者として駆り出されてしまったし、南々先輩も部活棟に行ってしまったし。

ふたりとも、もどってきたら少し休んでもらわなきゃいけない。




「紅茶淹れますね」



そう言って席を立ち、キッチンに足を踏み入れる。

疲れに効くハーブティーにしようとパントリーを探っていたら、追うように入ってきたのは椛先輩で。彼は奥の戸棚からお菓子を探しているようだけれど。



「るーちゃん、南々ちゃんにフラれた?」



……どちらかといえば、これが目的なんだろう。



「……フラれましたよ。

お互いに文化祭の仕事が忙しいので、いまはそんなの気にしてられませんけど」



「……馬鹿だねえ」



「………」



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