【完】こちら王宮学園ロイヤル部
……馬鹿って。
ただ事実を素直に答えただけなのにどうして「馬鹿」扱いされているんだ。やっぱりこの人よくわからないなと、失礼なことを考えていたら。
「傷ついてるくせに」
「、」
たった一言で、
胸の奥底をえぐられたような気がした。
「俺さあ、別にルノに告白して欲しかったわけじゃないんだよねえ。
南々ちゃんは俺が好きだってこと知ってるけど、俺がうっかり口滑らせただけで告白したわけじゃないし。……まあ、しようとは思ってたけど」
「告白のことを言い出したのは椛先輩じゃないですか」
キッチンの声は、リビングに筒抜けだ。
別に告白したことを隠すつもりもないし、フラれたことも隠すつもりはないけれど。
「お前が、いつまでたってもルアのこと引きずってるって知ってるからだよ。
ルアが部屋から出て解決したように見えて、結局そうやって罪悪感背負ってるうちは何も解決してない」
椛先輩はずるい。
いつもは"るーちゃん"なんてふざけた呼び方で。ふざけた声色で、話すくせに。少し堅い話のときにも名前でしか呼ばない、この人が。
真剣な声色で。
挙句俺に対して"お前"って言葉を向けるときは、嫌でも大事な話だって思わせてくる。逃げようとしたって、逃がしてはくれない。
「……告白できるほど、お前が自分のことを考えられるようになったらいいなと思ってただけ。
お前も莉央も同じように罪悪感を背負ってるけど、その解決の仕方が違うだろ」
自分が子どもなのは知ってる。
どれだけ足掻いてもロイヤル部の中で俺とルアは一番年下で、ほかの先輩たちを頼らなきゃどうしようもないこともある。
「その証拠に、莉央は徹底してるからねえ。
……南々ちゃんのこと好きでも、付き合うとかそういう考えがない」
「え、」