【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「腑に落ちないならさ。
あとでなんか奢ってよ。俺焼肉食べたい」
なぜかお願いする側のわたしが押し切られてしまうという結果になって、彼らを呼ぶ経費は全額焼肉代に注ぎ込まれることとなった。
……理事長が許可出しちゃったからいいんだろうけど。
というわけで、今晩一般開放が終わって生徒だけの後夜祭が行われる間、『Fate7』とロイヤル部はC棟で打ち上げをするらしい。
……あの、理事長、本当にいいんですか。
「いや、ナナのこと驚かせようと思って」
「確かに驚いたけど……っ!
まだあと4時間ぐらい待機時間あるわよ!?」
「ああ、うん、大丈夫。
遊んだり軽く声出ししてる時間で潰せるし」
いや、こっちが大丈夫じゃないんです。
何か大丈夫じゃないかって、それぞれ顔を隠してはいるけれど7人スタイルのいい男子が並べば必然的に目立つというこの状況だ。
「る、ルア。
ごめんわたし少しだけここ離れてもいい?」
「うん、だいじょうぶだよ」
ふわりと笑ってくれる彼の笑顔が癒しだと思う間もない。
とりあえず目立たないように彼らを人のいない中庭に隠し、それからようやくスマホを耳に当てる。
『どうした?』
「あの、いつみ先輩」
わずか数コールで出てくれた彼に、もうすでに彼らが到着していることを早口で伝えれば。
「めんどくせえことしやがって」と心底嫌そうに文句を吐き出した先輩は、「とりあえずC棟に突っ込んどけ」と一言。
まあサプライズがバレちゃいけないから、どっちみち彼らはC棟で待機してもらう予定だったのだけれど。
ひとまず目の前の用事が終われば来てくれるらしい先輩に、了解の返事をして電話を切った。