【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「ええ、と。とりあえずC棟に案内しますね」



そう言って、極力目立たない場所を通ってC棟に向かう。

カードでロックを解除して通し、ようやく変装を解いた彼らは画面越しに見る『Fate7』で。



「……ナナ、怒ってる?」



リビングにいてもらおうと廊下を歩いている最中、隣に並んだ夕陽がわたしの表情をうかがうようにしてそう聞いてきた。

……そんなちょっと不安そうな子犬みたいな目を向けられたら、怒ってるって言えなくなるじゃないか。



「……なんでこんなに早く来たの?」



「……後ろにいる人たちが早く来たいってワガママ言ったから」



ぼそっと告げる夕陽の言葉に振り返れば、「あ、もしかしてNANAの元カノちゃん怒ってる?」と神経を逆撫でするような発言。

……いや、あえて言ってるのかこれ。




「……夕陽、わたしが元カノって言ったの?」



「言ったっていうか、バレてるだけ……」



なぜか夕陽の声が小さい。

そこにいつもみたいな生意気な姿がないからどうしたのかと一瞬不安になったけれど。それはすぐに解決した。



「元カノっていうか、

いまも好きなんじゃなかったっけ?」



「こないだフラれたって落ち込んでたよな」



「っ〜〜、うるさい……っ。

べつに落ち込んでないし!そっちが勝手に言ってるだけじゃん!」



ニヤニヤと、夕陽をからかってるメンバーさんたち。

……そういえば夕陽って、7人の中で1番年下なんだっけ。



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