【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「へえ、落ち込んでないのは否定するってことは。
まだ好きなのとフラれたのは否定しないんだ?」
「う、る、さ、い!」
「前に写真見せてもらったことあるけどやっぱ美人だよねー。
今までのNANAの彼女とは違って正統派美女じゃん」
「本命はやっぱ別的な?」
「うるさいって言ってんだけど……!?」
「はいはい、NANAちゃん静かにしようなー?
っていうかさっき彼女のこと『ナナ』って呼んでたっけ?まさかの芸名は元カノから?」
なんだかヒヤヒヤしてしまうくらいに、夕陽がみんなに相手にされてない。
「はいはいお前はかわいーな」って子ども扱いされちゃってるし。もしかして言い負かされるのをわかってるから、大人しくしてるんだろうか。
「……もうやだ」
そう嘆いた彼に、みんなくすくす笑ってるし。
メンバー間の仲が良いのはすごく伝わってくるけど。夕陽がこんな風にシュンとしてるのはめずらしい。
「いつもこういう扱いなの?」
「……そーだよ。
だから迷惑になるしちゃんと午後から行こうって言ったのに、この人らのこと止めらんなかったの」
「……意外と苦労してるのね」
「意外とって言うな」
ふんっと拗ねる夕陽のことを、また「かわいい」ってみんな揶揄ってるし。
たどり着いたリビングに入ると、みんなが驚く中で「懐かし」って笑ってる男性がひとり。