【完】こちら王宮学園ロイヤル部
空間を裂くような声に、ハッと我に返る。
驚きのあまり赤い顔のまま声の方へと顔を向ければ、声をかけてきたのはミナさんらしい。けれどみんな、ばっちりこっちを見ている状態で。
「……っ」
ばっ、と。
夕陽がわたしから勢い良く手を離して顔を背けた。
「あっれー。NANAどしたの?」
「やめてあげなって。
完全に自分の世界入っちゃってたから、声かけられたの恥ずかしいんだって」
「声かけたのリーダーじゃん。
俺はあのまま見てても面白そうだったけど?」
いやいや、のんきに話さないでほしい。
それに、別に自分の世界に入ってたわけじゃないでしょ、と彼の顔をちらっと覗き込んでみれば。
「夕陽?」
「っ、見るなばか」
……顔真っ赤なんですけど。
もしかして、本当にまわりのこと忘れてたんだろうか。
「南々瀬。お前もどらなくていいのか」
「え? あっ……!
これ準備したらすぐに受付にもどります!」
ぼーっとしてたらいつみ先輩に促されて、ルアを受付に残してきたことを思い出す。それから、慌ただしく飲み物の準備を再開させて。
テーブルの上に揃えたところで、「それじゃあもどりますね!」とリビングを出ようとした時。
南々瀬、と。
もう一度静かに呼び止められて、振り返った。