【完】こちら王宮学園ロイヤル部
◆ Side莉央
「お前なー……」
慌ただしく南々瀬が出ていったリビングの扉を見つめてから、いつみに視線を向ける。
その表情は相変わらず余裕綽々で、無意識にため息がこぼれた。
「いくら嫉妬したからってアレはねーだろ」
「別に何もしてないだろ?」
そーだな。何もしてねーよ。
ただくちびるにリップクリーム塗ってやっただけだしな。でもそれが問題なんだっての。
「あのさぁ……!!」
……ほらな。
わなわなと怒りで震えている夕陽がリビングへと出てきて、ツカツカといつみに歩み寄る。
アイドルなだけあってスタイルも良い上に身長もだいぶ伸びたけど、それでもいつみと比べれば小さい。
まあコイツまだ中3だしな。
「何してくれてんの!?」
「何もしてねえよ。
むしろ何かしたのはお前の方だろうが」
「俺だって何もしてないじゃん……!!」
……そーだな。お前も何もしてねーよ。
ただ単にあいつのこと口説いてただけだしな。
「もしかして。ここって、三角関係なの?」
楽しげに口角を上げて聞いてくるのは、『Fate7』のリーダー。
確か……ミナト、だったっけな。この間資料見せてもらったけど、俺は名前を覚えんのが嫌いなんだよ。