【完】こちら王宮学園ロイヤル部
……本気にさせられる、って。
ただ夕陽がわたしを好きでいてくれてるだけで、別にわたしにはそこまで魅力なんてないと思うけど。彼らは、何かに気づいたようで。
「ふふっ。わかんないって顔してるね」
「……実際わからないですし」
「んー、でも、わかんなくていいんじゃない?
NANAのプライド的に可哀想だし、ね」
「好きな子に、自分がその子のこと好きなところ知られるのってなかなか恥ずかしいからね」
「そーそー。
しかもNANAの場合、ほかのヤツよりもプライド高いから余計に」
……よくわからないけれど、とにかくわたしは知らなくていいらしい。
ちらっと視線を落とすと、変わらず心地よさそうに眠っている夕陽の寝顔に、思わずくすりと笑みが漏れた。
「夕帆。遅くなって悪い」
「あら、おかえりいつみ。莉央も」
「おかえりなさい」
ほのぼのとした雰囲気の中で。
扉が開いてふたりに声をかければ、じっと感じる視線。それから「またコイツは」と顔をしかめるいつみ先輩を、夕帆先輩が苦笑しながら宥めた。
「疲れて寝てるから、そっとしといてやって」
「……めずらしーな。
夕帆がいつみじゃなくて夕陽の味方につくの」
「別に味方とかじゃないわよ。
じゃ、あたし休憩行ってくるわ。ほかの3人ももう休憩行ってるし、何かあったら連絡してちょうだい」