【完】こちら王宮学園ロイヤル部
決してはじめから乗り気だったわけじゃない彼女は、さっきいつみ先輩にそう言い返してみせた。
不敵に口角を上げたその姿からいつみ先輩に似たものを感じたのは、きっと俺だけじゃない。
「……そうですかね」
「真面目だよ。ばかまじめ」
「……褒めてます? ソレ」
意図をつかむように眉間を寄せて尋ねれば、彼はくすくすと笑う。
それにあわせるようにオレンジベージュの髪が揺れて、年下の俺が言うのもなんだけど椛先輩は随分と大人っぽくなったな、と思った。
「褒めてんだよ〜。
俺、るーちゃんのそういうとこ好きだし」
椛先輩は、俺の中学の先輩でもある。
だから椛先輩とは付き合いが長いし、この人の髪がもっと明るい単色のオレンジだった頃から、知っているから。
「好きだけど、たまにイラーッとする」
「……さっきから矛盾してませんか」
余計に、そう思うのかもしれない。
ひとつ歳が違うだけなのに、どうしようもなくこの人は年上なんだって、俺の脳が勝手に記憶してる。……それは椛先輩に限ったことではないけど。
「お前は俺らの後輩でしょうに。
ほかのヤツの価値観なんかどうでもいいから、もっとテキトーに生きればいいんだよ」
気遣いすぎ、と。
前々から何度も言われていることを改めて口にされる。何度も、ということは、どれだけ経っても俺が変わっていない証拠だ。
「俺と莉央なんか、
夕さんといっちゃんに気遣ったことねえよ〜」
「あんたたちは、
いい加減あたしたちを年上として敬いなさいね」