【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・Fantôme
◆
「さてと、
それじゃあサプライズステージの成功と、」
「文化祭の成功を祝して、」
乾杯!と、ミナさんと夕帆先輩の声ではじまったC棟打ち上げ。
窓の外の景色はここからじゃ見えないけれど、今頃全校生徒は最終の後夜祭を楽しんでいるところだろう。間も無く花火も上がるはずだ。
そんな中で、わたしたちはC棟にこもりきり。
仕事も終わっているし、何より差し入れで昼食は済ませたけど、みんなお腹空いてただろうし。
わいわいと、各自好きに食べ始める。
焼肉といっても大きめのホットプレートをふたつ出して野菜やらお肉やらを焼いているだけだから、そんなに豪華なものでもないけれど。
「ナナ、俺らのステージどーだった?」
するすると隣に寄ってきた夕陽。
心なしか楽しそうな顔を見る限り、どうやらサプライズライブが楽しかったんだろう。確かにあの熱気は本当にすごかったけど。
「かっこよかった」
思った通りに褒めれば、彼はふっと嬉しそうに笑う。
その無邪気さを見て、アイドルの仕事が本当に楽しいんだろうな、と薄ら思った。
『Fate7』がステージに上がった時の盛り上がりといえばもう、すごかった。
デビューしてからまだ間もないこともあって曲数が多くないから、有名なシングルとカップリングの数曲を歌ってくれたのだけれど。
みんながステージからおりてからも一向に熱気は冷めなかったし。
しかもリーダーのミナさんが軽い自己紹介の際に、「王学の姫にご招待いただき、」と話したことで。
あとでいろんな学科の女の子たちに囲まれて、「姫川さんありがとう」と泣きながらお礼を言われたのはさすがに驚いた。
みさとも彼らのファンだから泣いてたけど。
「それにしても王学の設備ってすごいんだなー。
ドームとか超歌いやすかったし、俺も転校したい……」
「王学は転校受け付けてないから無理だよねえ」