【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・時をかけるブルーローズ
◆
ギシ、と妖しい音を立てて軋むベッド。
見上げた視線の先には、いつみ先輩。
「いつみ、せんぱ、っ……」
近さに戸惑う間も無く、くちびるが触れた。
先輩の匂いが近すぎて、わけのわからない何かに足元をすくわれる。
彼のカーディガンはつい先ほど返したはずなのに、数時間で自分自身に染み付いた彼の匂いに、思考が熱でおかしくなる。
「安心しろよ。何にも邪魔されねえ。
……だから素直に、俺の質問に答えればいい」
「っ、」
そしたら離れてやるよ、と。
悪魔のような囁きに、惑わされる。
時刻は23時前。
場所は一等地に建てられた、セキュリティが頑丈すぎる最高級の城の中。
「それとも……
このまま、俺に好きにされる方がいいか?」
燃えるような熱さで全身を染め上げて。
どうしてこうなったんだろうと、つとめて冷静に自分の記憶をさかのぼる。
「答えろよ、南々瀬」
「せ、んぱい」
「簡単なことだろ?」
ああもう、どうして?
一体どうして、こんなことになったの。