【完】こちら王宮学園ロイヤル部
その通り。
珠王も八王子も、誰かを傷つけるような政策には絶対的に反対だ。医療組織である珠王は特に。
「……、知らなかったの」
「……知らなかった?」
「15年前の計画がスタートして、14年前にセレモニーが行われた。
だけどそのセレモニーの表書きが『最先端技術を駆使したバイオ実験』だったのと同じように、珠王と八王子はその計画の内容を知らなかった」
嘘の実験内容を聞かされ、手を組んでいた。
そんな下衆な計画だと知っていたら、はじめから珠王も八王子も手を貸したりはしなかった。
「……どこで発覚したんだ、それ」
「……半年前。
今年の4月に、15年の嘘がやっと発覚した」
きっかけは?とわたしに尋ねて、いつみがコーヒーに口をつける。
その瞳には、姫川一家を巻き込んだ計画への明らかな怒りが宿っていて。
「いつみ、よ」
「……は?」
「いつみが……ロイヤル部を、作ったから」
この話を知った時、鳥肌が立った。
15年間の下衆な計画が発覚した理由は、14年前にいつみがあの子と交わした些細な約束だった。
「ロイヤル部が、名字に『姫』のつく女の子を探してる。
ホームページまで立ち上げて大掛かりに探してたでしょう?だから姫川夫妻が、何気なくそれを見つけて。……それで、気づいたのよ」
珠王の息子が探している、お姫様。
その人物が、自分たちの娘であることに。