【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……わかった。
12月末にその計画を実行すれば、南々瀬とその両親の安全は保障されるんだな」
「ええ、そうよ」
「……南々瀬が誰と結婚するのかはその後だ」
「あら、違うわ。
……あの子は間違いなくいつみと結婚する」
「………」
「だから初めに、言ったでしょう?
いつみがあの子は"14年前の約束の相手だ"って気づくように、わたしは最初からずっと"姫ちゃん"って呼んでだもの」
まあ、本当に彼女が約束の相手だってことはどうやら知ってたみたいだけど。
14年間変わらずに好きだなんて、随分と一途ね。
「まさか。知らないと、思ってた?」
「お前はあのパーティー……セレモニーか。
あれに参加してねえだろ」
「ええそうね。でも、夕帆から聞いたいつみの初恋の相手の話は知ってた。
……だから姫川夫妻が珠王と八王子に話を持ちかけてきた時、すぐにピンときた」
姫川夫妻が知っていた約束。
珠王と八王子はそれについて知らなかったけれど。わたしが知っていたから、その約束に間違いがないことは明らかで。
「ああ、そうだ。あの子の記憶がごちゃごちゃになってるのは、もうすこし大きくなって自分が人質だってことを知ったときに、パニックになったから。
ふさぎこんで、幼い頃の記憶を封じちゃったみたい」
あの子の夢は、両親と家族3人で暮らすこと。
南々瀬ちゃんは、政府が秘密裏に行っている実験が、冬に終了すると思ってる。
だからそれが終われば、もう二度と両親が政府なんかに縛られないように。
海外に3人で移住しようと思っているらしいけど、それは姫川夫妻の嘘だ。