【完】こちら王宮学園ロイヤル部
15年経ってもそれは結局完成しなかったし、その作業も続けたくはない。
だからそれらすべてを消し去ることで、ピリオドを打つ。
「あの日、出会ってたの。
……なんて、とんだストーカーよね」
「……うるせえよ」
「でも。15年前に計画がはじまって、約束をしたのは14年も前なのに。
その約束のおかげで下衆な計画が発覚して南々瀬ちゃんといつみが上手くいくなんて、運命かもしれないわね」
いや、間違いなく運命だと思う。
特殊な家に生まれた南々瀬ちゃんといつみが、時を経て寄り添ってくれるのなら。
「今ならまだ、間に合うわ。
いつみは計画までに、あの子をしっかり捕まえなさい」
そう言って、コーヒーを飲んだけれど。
解決している問題とは裏腹に、眉間を寄せて難しい顔をしているいつみ。
「好き、なんでしょう?
それならしっかり捕まえなきゃ。……あの子は計画が終了してもう二度と日本にもどってこないと思い込んでるから、絶対好きとは言わない」
「………」
「……ああもう、上手くいかなかったら困るから先に言うわね。
南々瀬ちゃん、ちゃんといつみのことが好きよ」
「……あいつこの間俺のこと振ったけど」
「だからそれは、あの子が好きって言っちゃダメだと思ってるから。
安心して。……ちゃんとあの子の口から、好きだって聞いた。ここまで教えてあげてるんだから、今度こそ絶対に捕まえなさい」
南々瀬ちゃんは知られたくなかったかもしれないけど。自分のことを好きだって知ってる方が、いつみも彼女を捕まえやすい。
すべて計画が成功したら、あとで南々瀬ちゃんには謝らなきゃいけないわね。
「ああ、そうだ」