【完】こちら王宮学園ロイヤル部
テーブルに、頬杖をつく。
「なんだよ」と言いたげにわたしを見る視線は相変わらず冷たいけど。
「わたし、嘘なんか言ってなかったでしょ?」
「……いつの話だ」
「あの子が転校してくる1週間前の話。
かわいい弟の幸せな将来を見たいなあ、っていうやつ」
それはもう、盛大に嫌そうな顔してくれちゃってたけど。
あの言葉に嘘はないし、実際今も幸せになって欲しいと思ってる。
本当に嘘がないことを理解したのか、いつみは「ああ……」と思い出したように言っているけれど。
"ああ……"じゃないわよ。
いつみってば、
本当にお姉ちゃんに冷たいんだから。
「特別にぜんぶ話してあげたんだからね!」
シリアスな話はどこへやら。ぎゅうっと、遠慮なくいつみに抱きつく。
その拍子に、借金でも背負わされたの?ってほど大きなため息が降ってきたけど。……あれ?
「いつみ?怒んないの?」
「もう好きにしろよ。
……結局なんだかんだお前に助けてもらったようなもんだしな」
「やーんっ。いつみが素直……っ!
ねえおねがい、頭撫でて?ね!」
「……お前がそうやって俺に甘えてくると、あとで夕帆から俺に文句が来るんだよ。
頼むからそういうのはお前らで解決してくれ」
ぎゅっといつみに抱きついてたら、すごくすごくすごく嫌そうだけど、頭も撫でてくれて。
これだから、ブラコンはやめられない。