【完】こちら王宮学園ロイヤル部
◆
「おじゃましまーす」
C棟リビングに足を踏み入れれば、いつもと変わらずなんとも言えないような歓迎をされる。
クリスマスだっていうのに、なんとも盛り上がらない男だらけの部屋の中。ルノに、「いつみ先輩いませんよ?」と不思議そうな顔をされた。
「うん、知ってる。
だっていま、いつみはハワイにいるもの」
「は?」
「南々瀬ちゃんを迎えにね」
つい2日前の終業式のあと。
彼女は予定通りにハワイへ旅立った。ちなみにあの子が海外の新しい家に送られたと思っている家の中の家具なんかは、珠王の実家に送られてる。
ついさっき、予定通り珠王のバイオ実験棟が爆発した。
その旨をハワイに着いたいつみに連絡したから、今頃彼女を迎えにホテルに行ってるんじゃないだろうか。
……爆発のことが彼女の耳に入って、先に不規則な動きをしたらどうしようかと少し不安だけど。
まあいつみのことだから、南々瀬ちゃんを無事に迎えに行くだろうし。
「あいつ受験前なのに、
南々瀬ちゃんのところ行ったの……!?」
「実はね、南々瀬ちゃんなんだけど。
本当ならこのまま王学やめることになってるの」
「は!?」
驚愕に見開かれる瞳。
そりゃそうよね。終業式の日、あの子は「また冬休み明けに」ってしれっと嘘をついてハワイに飛んでるんだから。
「だからそれを阻止しに、ね。
……まあいいから、今から話すこと聞いて」
政府の秘密裏な計画は、当然言いふらすわけにはいかない。
だけどこの子たちには、話しておくべきだ。