【完】こちら王宮学園ロイヤル部
何が特別仕様なのかと、はかるように目を細めてみる。
まじまじと彼のバッジも見つめてみるけれど特に変わったところはなくて、首をかしげれば箱から先輩がバッジを抜き取った。
「生徒会役員のバッジは、
会長が金で、それ以外は全員が銀になってる」
ぷつっと指で押して留め金を外した彼が、わたしのブレザーの襟を軽く立てて、針を通す。
距離の近さに戸惑ったけれど、動いて彼が針で怪我をしてはいけないと、おとなしく彼がつけてくれるのを待った。
「この色は、歴代の生徒会でもお前だけだ」
「、」
「生徒会役員に、
そもそも姫っていう地位はないからな」
ふっと、微笑む珠王先輩。
さっき女王先輩が撫でたところを、彼の指が優しくたどる。それだけで否応なしに先ほどのことを思い出して、顔がじわりと熱を持つ。
はじめて会った時も、思ったけれど。
ここの人たちは、とてもスキンシップ過剰だ。
「……南々瀬」
溺れそうな深い声で呼ばれて、たまらずぎゅっとまぶたを伏せる。
浮き沈みの激しい心の中。どうすれば正解なのかとぐるぐる迷うように考え込んだ思考の先で、彼のことを思い出す。
「あ、の、わたし……」
「ん?」
「ひ、人を待たせてるので、」
すみませんもう行きます……!と。
はんぶん叫ぶようにして告げると、脱兎の如くリビングを抜け出した。