【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……あの」
「ん?」
「見て分かる通り、
この部屋クイーンベッドひとつなんですよ」
「ああそうだな。
どう見てもツインではないな」
「もう一度言いますね。
クイーンベッド"ひとつ"なんですよ」
あえて、ひとつ、を強調して告げる。
それを聞いても何一つ顔色を変えない彼は、「だから?」とでも言いたげだ。
だから?じゃないんです。
いくらふたりで寝てもゆとりのあるベッドだからって、なんかこう、その、落ち着かないというか。
「この部屋、元はふたりでも泊まれるんだろ?」
「そうですねハネムーン向けに」
「……、問題あるか?」
大アリだ。
むしろなんで問題がないと思っているんだろう。わたしたちはカップルであって新婚じゃないし。そもそも付き合って3ヶ月も経たない。
挙句先輩は受験勉強で忙しくて、まともに話したのもひさしぶりなのに。
どうしてこの人はモテるくせに複雑な女心をわかってくれないのか。
だから色々と問題があるのだと、
身振り手振りで先輩に説明していれば。
ふと、一瞬考え込んだ先輩は。