【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・COUNT UP
◆
ぎゃあぎゃあと、騒がしい声が聞こえてくる。
近づけばそれは主に夕帆先輩のもので、今日もロイヤル部は賑やかだなと思わず笑みが漏れた。
かちゃり。
ドアノブに触れて、扉を開けてみれば。
「おはようございます」
目を見張ってわたしを凝視する夕帆先輩と。
その他同じように驚いているのが数人。それを見て、たぶんいつみ先輩は黙ってたんだろうなと薄ら思う。
「おはよう。昨日はちゃんと眠れたか?」
「うん」
リビングに足を踏み入れれば、問い掛けられてうなずく。
そうか、と小さく零した彼は、近寄ったわたしの額に口づけを落とした。最近知ったことだけれど彼は何かとスキンシップ過剰だ。
「え、ええっと……?
南々瀬ちゃん、なんでここに……?」
「なんでって、今日始業式じゃないですか。
あ、遅くなりましたけどあけましておめでとうございます」
「ああ、うん……
でも王学退学したって聞いたんだけど……?」
「はい、退学届は提出しました。
……でも残念ながら、受理されなくて」
ふふ、と笑うわたしに、「なんだそれ……」と脱力する夕帆先輩。
どうやらいつみ先輩から、わたしが退学したと聞かされていたらしい。
本当はその予定だったけど、退学届は不受理でいいわよね?と、尋ねてきた理事長秘書の彼女を思い出す。
よく似てる。先輩と、いくみさん。
姉弟なんだから当たり前だけど。
ふたりの中にある芯みたいなものが、よく似てる。