【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「ルノ、ルア」
お互いを守ろうとして傷つけあった双子。
想い合っていたからこそ、臆病になる。
「椛、莉央」
傷つかなかった、わけじゃない。
けれどそれを見せようともせず、新しい形で未来に進もうとしているふたり。
誰のことも否定しなかった優しすぎるオレンジと、誰のことも切り捨てなかった優しすぎる臙脂。
その優しさに、出会ってから何度も救われた。
「夕帆先輩。……いつみ先輩」
幼い頃から支え合って生きてきた、表裏のふたり。
ロイヤル部は、彼らがいなきゃはじまらない。
「わたし。……ここにいて、いいですか?」
問い掛ける。
そうすればいつみ先輩は「なに言ってんだよ」とあきれたようにわたしの頭を撫でて、その指先でするりと襟元に触れた。
「……言ったろ。
このバッジはお前だけのもんだって」
『R』を刻印した、王冠のバッジ。
異質な学園の上に立つエリート集団の居場所。
「お前以外の姫なんかいらねえよ」
ほら行くぞ、と。
今度こそ促した先輩は、わたしの手を引く。逆らうこともなく手を引かれながらぞろぞろとドームに向かう途中で、先輩の言葉を噛み締めた。
ロイヤル部の姫は、後にも先にもわたしだけだ。