【完】こちら王宮学園ロイヤル部
いくみさんがなぜか運び込んだらしいわたしの荷物も揃っていたし。
何より様子を見ている限り、先輩自身がわたしとあまり離れたくないみたいだ。
だからハワイで見せられたあの合鍵は、いまはわたしの鍵になっている。
……先輩が心配性だから、いまのところひとりで出歩くことはほとんどないけど。
「は!? 一緒に住んで……!?
っつうかお前、受験勉強に集中したいから冬休みはC棟離れるって言ってたんじゃなかったのかよ!?」
「南々瀬と住んでるって言ったら、
お前がそうやってうるせえのわかってるからだよ」
「うるせえって言うな。
南々瀬ちゃん大丈夫!?何もされてない!?いやでも住んでるってことはもう色々された後!?手遅れ!?」
「……夕帆先輩落ち着いてください」
このままじゃ暴走しそう……いや、すでにかなり暴走気味な先輩をなだめる。
それから「いつみ先輩は受験生ですよ」と笑って。
「普段は邪魔しないようにしてますから。
わたしと先輩の部屋は別々にあるので」
「そう……ならよかった……」
彼の部屋は予想以上に広い。
わたしと先輩の部屋は別々にあって、リビングダイニングキッチンの設備はもちろんのこと、お風呂やトイレなんかもすごく綺麗で広いし。
あと、使っていない部屋がもうひとつあって。
なぜか広々としたベッドがひとつと、小さな戸棚とライトが置かれただけの部屋がある。
要するに、寝室。
わたしと先輩の部屋にはそれぞれベッドがあるのに、なぜかもうひとつ寝室。
理由を聞いたら、一緒に寝るときは広いほうがいいだろ、だそうだ。
いまは先輩の受験目前で寝る時間も違うからと、部屋で別々に寝ているけれど。
それが終わったら、一緒に寝たいな、とひっそり思ってる。
ハワイで数日過ごした時にくっついて眠ったのが、すごくしあわせだったから。