【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「あ、じゃあ……

すぐに荷物とってくるから、」



「ああ。一緒に行くか?」



だいじょうぶ、と返事して、C棟に足を踏み入れる。

急ぎ足でリビングに向かい、荷物を手に引き返してきたところでいつみ先輩以外のみんながこちら側へと歩いてきた。



「おめでと、南々瀬ちゃん」



「え、」



「いつみの前で言うのもあれでしょ。

……色々あったけど、無事にうまくいってよかったわね」



そう言って、金髪碧眼の美女は微笑む。

……なんだかんだ言って、夕帆先輩はいつみ先輩のことが好きらしい。きっと否定するだろうけど。




「おめでとうございます、南々先輩。

……まあ。残念な気持ちはありますけど、いつみ先輩のことは俺も好きですからね」



「そうなんだよねえ。

いっちゃんじゃなかったらどうにかしようと思ったかもしれねえけど、いっちゃんだしな〜。……めーいっぱい甘やかしてもらいな」



ルノも、椛も……

わたしのことを好きだって言ってくれたのに、それ以上にわたしの感情を優先してくれる。



「好きなんだろ? いつみのこと」



「うん。……好きです」



聞かれたことをそのまま肯定するわたしに、莉央がふっと笑みをこぼす。

それから「よかったな」と頭に触れた手にほんのすこしの違和感を感じたけれど、それを探るよりもはやく、腕に抱きつかれて重みを感じた。



「ルア」



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