【完】こちら王宮学園ロイヤル部
ゆるやかな声で、そう告げる。
発行取りやめ? え、取りやめになったの?
「は!?
あんなに精神的にダメージ負わせといてかよ!?」
「ご褒美旅行もあったんだからいいじゃねえの」
「……どうして取りやめになったんですか?」
「ロイヤル部が今年で廃部になるからだよ〜。
堂々とパンフに『ロイヤル部』って書いてたから、発行できなくなったらしいぞ〜」
1月の寒さの中でも、リビングは暖房で程よく温められている。
空調の風を受けたのか、椛の髪がふわふわと揺れるのを見つめながら。
いま言われたばかりの言葉を、頭の中で再生した。
……廃部? 廃部って言った?
「えっ、廃部になるの……!?」
「だってロイヤル部は、いっちゃんと姉さんが個人的にはじめたものだろ〜?
んで、目的は姫探しだったじゃねえの。そのお姫様が無事に見つかったんだから、ロイヤル部にする意味ないだろ〜?」
そうだ。……確かにそうだ。
いつみ先輩が初恋の女の子、を探すために改名したのだから、それが解決すればロイヤル部にする意味はない。
「じゃあ、これはおしまいなんだね」
ルアがそう言って触れたのは、ソファの背もたれに引っ掛けてあったブレザーの襟につけられているバッジ。
『R』が刻印されたそれは、正真正銘ロイヤル部である証明なのだけれど。
「……生徒会のバッジはこの形じゃないの?」
「ああ、お前元のバッジ見たことねーのか。
王学の生徒会バッジは、形自体はそのまま王冠だけど『R』じゃなくて『OQ』の刻印なんだよ」