【完】こちら王宮学園ロイヤル部
しみじみ。
つぶやいたいつみ先輩に、「いつみ先輩は理由知ってるんですか?」と聞けば、彼は否定した。
いつみ先輩も、彼の呼び分けの理由は知らないらしい。
でも、わたしといつみ先輩と椛が同じで、莉央と夕帆先輩が一緒のものって……?
「あーっ、つかれた」
「……夕帆先輩もどってくるの早くないですか」
「だってああなったらルノは意地でも言わないだろうし。椛が追いかけてるから放っておくわ。
で、ルア。結局違いはなんなの?」
追いかけるだけ追いかけて、あっさり戻ってきたらしい。
……一体ルノはどこまで逃げる気なんだろう。
C棟の中だけならまだしも、外に行ったらあの格好は寒いんじゃないだろうか。
ふたりともブレザーはこの部屋に置きっぱなしで、シャツの上にカーディガンだけだ。
「んっとねぇ、
特に尊敬してる人は先輩よびなの」
そんなルノの努力も虚しく、夕帆先輩に尋ねられてあっさりバラしてしまうルア。
……あとでルノに怒られるんじゃ。
「……は?そんだけ?
別に逃げるほどデカい秘密でもねーだろ」
「ルノは、いろはに知られたくないだけだよ」
……ああ、なるほど。
だから椛がいなくなった今教えてくれたのか。
すごく尊敬、なんて。
言われるほど大したことはしていないけれど、それでも彼の中に色々と差があるらしい。
「照れ屋さんだから、いわないけど。
ほんとはね、ルノは、すごくいろはのこと信頼してるから」