【完】こちら王宮学園ロイヤル部



テンポよく飛び交う会話。仲が良いのはよくわかる。

特に考えもなしに、何気なく持ち上げた視線の先。



目があって珠王先輩はいつの間にかフレンチトーストを食べ終えていて、ちょいちょいとわたしを手招いた。

……綺麗な見た目でその仕草は、ずるい。



「誰も夕さんのことだなんて言ってないじゃないですか」



「あら、そう?なら誰のことなの?」



「まあ夕さんのことなんですけどね」



歩み寄って、手を引かれて座るのは彼の隣。

楽しそうに話す3人の声を聞きながら、「馬村くんはどうしたんですか?」と尋ねてみる。最初から気になってたのに、タイミングがなくて聞けなかった。



それもこれも椛のせいで……って、そうじゃない。




「ああ、あいつならまだ寝てる」



「寝てる……」



「体動かすの好きだからな。

体育の授業があれば1限だろうと出んのに、それ以外のときは昼ぐらいまで出てこねえよ」



なんて自由な。

それじゃあ単位……と当たり前のことを考えて、ここのメンバーに与えられた特別な免除を思い出す。そうだ、単位関係ないんだった。



「お前ももう部員扱いだからな。好きなだけサボれよ」



「……しれっととんでもないこと言いますね」



「はっ、成績悪くなったら俺が教えてやるよ」



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