【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・モチーフができました
◆
卒業式まで、もう間も無く。
ということはつまり、ロイヤル部から先輩ふたりがいなくなるまであとすこし。
そんなとある日。
「そういえばよー」
思い出したように口を開いたのは莉央で。
彼の視線の先はなぜかわたし。どうやらわたしに対して話をしているらしい。
「ロイヤル部って、一応モチーフあるだろ?
お前の部屋って何のプレートなんだよ」
「……モチーフ?」
首をかしげれば、「ドアのやつ」と短い返事。
ドアのモチーフ……ああ、わかった。あれだ。
「さあ。わたしの部屋には何もないわよ」
ロイヤル部には、一応全員にモチーフがある。
例えばいつみ先輩には金の王冠、夕帆先輩は銀のティアラ。双子はそれぞれ紅白のバラで、椛がブロンズの甲冑、莉央が黒馬だったはず。
それぞれ自室のドアにそのプレートがかかっているけれど、わたしの部屋の扉には何もない。
姫だとティアラのイメージだけど、それだと夕帆先輩とかぶっちゃうし。
「南々ちゃんのモチーフつくるなら〜、
とりあえず色はピンクがいいよねえ」
「そうですね。
南々先輩っぽいものって何かありましたっけ」
「花とか?
でもそれだとちょっと安易かしらね」
わいわいわいわい。
気づけばわたしそっちのけで盛り上がっているみんな。