【完】こちら王宮学園ロイヤル部
番外編
・秘密ではないが言えないこと
◆ Side椛
「なんか〜、」
「ん?」
「めずらしいメンツだねえ、と思って」
いっちゃんと姉さんは受験勉強でそれぞれ自室に籠城中。
1月になって姫が帰還し、俺らは来年度に仕事を引き継ぐための作業に追われているけれど。
「まあ、確かにめずらしい組み合わせですよね」
「だろ〜?」
ルアも今日は部屋で勉強すると言って自室に行ってしまったし、お姫様は授業に行った。
となれば作業をする気にもなれなくて、3人で屋上にてサボり。
ま、じっとしてられるほどあったかくねえんだけど。
わざわざ外に出て1回ホットカフェオレのペットボトル買ってから屋上まで上がってきてるしねえ。
「莉央さんって、」
「ん?」
「南々先輩のこと好きなんですよね」
学園内でいちばん高さのあるC棟。
ここの屋上からいっちゃんがこの学園を見下ろしているだけで、本当の王様みたいに見える。この学園に存在する、唯一無二の絶対王者。
……まあ。
その王様も、ずいぶん雰囲気がやわらかくなった。特に、ハワイから帰国したあたりから。
「嫌いじゃねーけど?」