【完】こちら王宮学園ロイヤル部



ただの興味本位だけど、一体ふたりの関係はどこまでいったのやら。

一緒に泊まってたらしいしな。……まあ、知ったら知ったで落ち込みそうだから聞かねえけど。



「嫌いじゃないって、」



「別に隠すことでもないじゃねえの。

どうせ俺ら3人とも似たようなもんなんだからよ〜」



言おうが言わまいが、叶いもしない。

ぐらぐらと不安定に揺れるタワーで「嫌い」なんて、あってないようなもんだろ。



「どうせ俺ら3人とも好きじゃねえの」



「……そうですね」



あ〜、さむい。

1月に屋上で話すもんじゃねえなマジで。




「南々先輩の話って、」



「ん〜?」



「俺は、すごく綱渡りみたいだと思ったんです」



キャップをはずしたままの、カフェオレのペットボトルに口をつける。

そんなに長話しているワケでもないのに、もう随分とぬるくなってしまっていた。



「だって、もし。

14年前の約束がなかったら?いつみ先輩がその約束を果たすような人じゃなかったら?ロイヤル部の存在に、彼女の両親が気づかなかったら?」



ここ最近。

ルノは一人称を"俺"と言う機会が増えた。



それはまぎれもなく、ルノが本音を出す機会が増えたからだ。

いままでずっと言葉にすることに怯えていたルノも、すこしずつ、変わってる。



< 562 / 655 >

この作品をシェア

pagetop