【完】こちら王宮学園ロイヤル部



まったくもってその通りすぎる。

じゃあそうしようかな、と、お言葉に甘えようとしていれば。



「どうせ泊まってくでしょ?」



さらっとなんでもないように告げる彼に、ピクッと肩が揺れた。

過去にも泊まったことはあるけど、まさかこんな風にいきなり誘われるとは……っ。っていうか。



「わたし、着替え持ってきてませんし……」



「明日着て帰る服ならここにあるじゃない」



……そうなんだけどね。

わたしも言い訳にならない言い訳だなって思ったんだけどね。



スキンケア用品は先輩の家になぜか揃えてくれているから、まったく問題ないんだけどね。

問題なのはどちらかといえばわたしの心境の方で。




「……温野菜でもしようかと思ったけど、

嫌なら今日は泊まらなくてもいいわよ?」



なんでもないように首をかしげる彼女。

どうやら強要しているわけではないみたいだし、相手は夕帆先輩だ。



「じゃあ、泊まります。

っていうか夕帆先輩料理できないですよね?」



「温野菜ぐらいあたしにも出来るわよ。

夕飯何にする? あたし豚しゃぶ食べたい」



「それ選ばせる気ないですよね……

まあいいですけど。温野菜と豚しゃぶで」



ぱぱっと夕飯のメニューを決めて、先輩の一人暮らしのマンションに向かう。

大量に買ったものを部屋の隅に置いて、手を自由にしたところで一緒に買い物に行き。



宣言通り温野菜と豚しゃぶの夕飯を済ませると。



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