【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「お前に近づいてくる男を牽制するの、大変だし」
「っ、」
「南々瀬が、俺に向けられる女の目が気になるって言うのと同じで。
俺もお前に向けられる男の目に、気が気じゃない」
男の方がタチ悪いし、とつぶやく彼。
タチ悪い?と首をかしげたわたしに、先輩はまた、触れるだけのやさしいキスを落として。
「……っつうか、それ抜きに。
たとえ女装してようと、彼氏の前で平然と下着選ぶのはどうかと思うけど」
「待っ、どこさわって……っ」
そこまで想ってもらえているのなら。
もう女装しなくてもいいと、言いそうになったのに。
服の裾から入り込んでくる指先に、一瞬にして思考が崩される。
「どの下着、つけた?」
「っ、せ、んぱ……っ」
甘い視線も甘い声も甘い空気も。
何もかもに溶かされそうで、焦がされそうで。
「……まあ、選んだの俺だし。
ぜんぶ俺好みだから、なんでもいいけど」
「っ、」
抱き寄せられて、先輩の髪から漂うシャンプーの香りに、くらくらする。
自分の髪がふわふわ揺れるたび同じそれを舞うように散らせて、中毒的な甘さに酔わされる。