【完】こちら王宮学園ロイヤル部
◆
「ねえ、ルア」
「うん?」
「わたしいま、
どうしてコタツに入ってみかんを食べてるの?」
自分でもばかみたいな質問をしているなあ、とは思った。
けれどそれ以上にこの状況が謎。本当に謎。
春休みも生徒会長の仕事で休みを返上しているわたしは、今日も今日とてC棟にいた。
けれど今日はみんな忙しくて帰ってしまい、ひとり作業していたところに届いた『こたつはいりにおいでよ』というルアからのメッセージ。
実家にいるんだと思ってたら、実は今日C棟にいたらしい。
……いるなら声かけてくれればいいのに。
なんて思っていたけれど大事なのは全くもってそこではない。
「こたつ……?」と不信に思いながら、リビングに一番近い彼の部屋にお邪魔すれば。
たしかにこたつが置かれていた。
そしてその上に丁寧にもピラミッド状にしてみかんが積まれていた。
あのね、もうどこからつっこんでいいかわからない。
まずこたつだ。ただでさえワンルームマンションのような部屋の中は狭くてベッドだけで精一杯なのに、そこにこたつを置いて窮屈にしなくても。
そして時期。
冬のはじめからならまだしも、これが設置されたのは今現在3月。もうそろそろあたたかくなって片付けなきゃいけないんですけど。
使えても1ヶ月すこし。
買うにしても微妙すぎる、と眉間を寄せていれば。
「春物に在庫入れ替えで、そのための売り尽くしセールで買ったんだよ」と、ふわふわした口調でルアがおしえてくれた。
だけどね、それってネットショッピングでしょ?
割と年中なんでも売ってる海外の大河と同じ名前の通販サイトでしょ?
あえてのセール品を買う意味。いやまあ、八王子の名前に関わらず節約するのはいいことだと思うけれども。
っていうか今日C棟にいたのはそれを受け取るためか。
……家に送ればいいのに。なんで学校に送るんだろう。