【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……ルア?」
顔を上げられないから、代わりに名前を呼んでみる。
まっさらなシャツからは、柑橘系のいい匂いがして。甘い彼の雰囲気とは異なるそれに、ドクッと心臓が大きく音を立てた。
「……南々瀬」
「……う、ん?」
「すきだよ」
身体を離せばまた、くちびるが重なる。
ルアへのスキンシップをためらっていたわたしを、いとも簡単に満たしてくれる。
長いキスに恥ずかしくなって、うつむく。
頭を撫でてくれる手は大きくて、やっぱり彼は男の人で。知っていたはずなのに、鼓動が不規則に揺れてしまう。
「わたしも……、すき、」
「しってるよ」
「………」
「しってるから。
ななせはぼくの彼女、でしょ?」
やっぱり、ぜんぶぜんぶ気づいてて。
安心させるように言ってくれるルアに、「うん」とうなずく。臆病になっていたって、仕方ない。
「……ありがと」
腕の中で目を閉じる。
やっぱりまだ気恥ずかしさは消せないけど。でも、わたしとルアはちゃんと、恋人同士だ。