【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「お取り寄せしたの、いろいろあるから。
いっしょに、消化しちゃおう?」
「……ルア」
「……うん?」
コタツを抜け出そうとした彼の手をつかまえる。
不思議そうに首をかしげた拍子に、グレーの瞳が淡い仄暗さを孕んで。吸い込まれたら、どこまでも堕ちてしまいそうだ。
「……あとでいいから」
「……? うん」
貪欲に。
一瞬知ってしまった甘さを求めたくなって、手を伸ばす。キスで呼吸を重ねて、部屋の中がまた水を打ったように静まり返った。
「……もっと」
隙間で、ねだる。
不思議な色の瞳をわずかに見張ったルアが、わたしの頰をつっと撫でて。それからまたキスを落とされた時には、静かに伏せられた。
「……とまんなくなるよ」
困ったような、笑み。
それすら愛おしくて、なにもかも欲しい。
「……、いいよ」
いくら雰囲気がどうであれ、彼も男の人だ。
その姿が上手く想像できなかったのに、自然と怖さはなかった。
それよりも、欲しい気持ちが勝って。
気付いた時には、月光を受けてプラチナに輝くその瞳を、十分すぎるほどに見上げた後だった。