【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「なにが"いいよ"なの……
ほんとお願いだから自重してわたし……」
「……嫌だった?」
「や……そういうわけじゃ……」
ベッドの中から、無駄に存在感を放つコタツを見据えながら。
思わず頭を抱えるわたしに、落ち着いた様子で話しかけてくるルア。彼がしれっとしてるのもおかしい。
「……ぼくは、うれしかったよ?」
「うん……」
ルアがうれしかったならいいけどね……
わたしも好きって言い合って、それに乗じた甘い時間を過ごせて満足ではあるけどね。
でも、"いいよ"ってなんなんだ。
しかも誘ったのわたしだし、誘い方も誘い方だし。……思い返すだけで恥ずかしすぎる。
っていうか流れだけ見れば、わたしの方がルアとそうなることに浮かれてたみたいでなんとも言えない気分になる。
熱くておそらく真っ赤に染まっていただろう耳で聞いた、吐息混じりなわたしを呼ぶ声。
嬉しいやら恥ずかしいやら。
実はあんまり興味ないのかなーって、思ってたんだけど。彼は完全に雰囲気詐欺だ。
囁かれた言葉が甘くて熱くて恥ずかしいものばかりで、それこそ思い返すだけで羞恥心に押しつぶされそうになる。
下心がありますって全面に押し出されるよりもタチが悪い……!
いや、それはそれで嫌だけど……!
予想以上に男の顔をされたせいで、色々と収拾がつかないんですけど……!
あんな……いや、うん。やめよう。
思い返して自爆するのはわたしなんだからやめよう。
ふっと息を吐いて、ルアをちらりと振り返る。
いつも通りの人懐っこそうな笑みを浮かべたルアに抱きつかれて、ついつい頭を撫でてしまった。