【完】こちら王宮学園ロイヤル部



好きだけども。ピラフ好きだけども。

チャーハンじゃなくてピラフにしようって言い出したところで、椛に大事な部分で負けている気がする。



「炊飯器に入れたら楽だしピラフね」らしいけど。

はじまりは弟妹たちのおやつだったのに手際まで考えてしまう椛にわたしが言えることなど一つ。



「言われたことやるから、指示してね」



逆らわない。というか逆らえない。

むしろもう彼が凄すぎて逆らう気にもならない。



「ん、ならまずピラフ仕込んで炊飯器に入れて~。

同時進行で香草焼きつくるか~」



夕飯を作る時間を考慮してお邪魔した上にまだ気温が上がらない季節なせいで、外は薄暗い。

早速はじめようか、と。彼の声で料理の邪魔にならないよう先に髪を結んでいたら、なぜかじっと見つめられて。



「……? なに?」




あまりの熱視線に、堪らず首をかしげる。

っていうかその無駄に整った顔で熱視線を送るのはやめて欲しい。変にドキドキするんだって。



「……いや、かわいいなと思って」



「っ……」



しかもさらっとこういうこと言うし!

そういう時に限ってゆるく話してくれないし!



「……かわいくない」



頭の中で言葉をたっぷり逡巡してから、ようやく口をついたのはそんな否定。

顔を背けた拍子に、できあがったポニーテールが揺れた。



「ほら、はやくつくろ。

遅くなっちゃったら、ケーキ食べれなくなる」



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