【完】こちら王宮学園ロイヤル部
何言ってるんだわたし。
フリーズしすぎて変なこと口走って……ってあれ。なんか椛さん嬉しそうな顔してるんですけど。
「俺の夢、叶えてくれんの?」
出た、質問に質問で返すずるいパターン。
でも椛がそんなふうに笑ってくれるなら、これもいいかな……なんてそんなこと思っちゃって。
「……いつか、ね」
「ふは、やった。
俺逆プロポーズされちゃった」
「っ、ねえもうご飯作ろう!?」
だめだこの人料理する気ない……!
髪結んだ時もエプロンの時も毎回こんなんじゃ完成どころか作り始めるまで長くなる……!
そう踏んで急かそうとすれば、なぜか抱きしめられて。
逃げようとしたら、腕の力が強くなる。
「……ちょ、っと」
「ごめん。
……らしくなく、浮かれてんの」
ぼそ、と。
うしろから囁かれる声と、弱い吐息。はあ、と彼自身が自分に向けて落としたため息は呆れているみたいで。
「ほんと……
南々ちゃんとふたりきりなのも泊まりに来てくれてんのも、いまの発言も。ぜんぶに、浮かれてる」
「っ、」
また夕飯をつくる時間が遅くなる。
だから文句を言おうとしたのに、聞こえてくる息遣いだけで浮かされてしまうのは、わたしの方だ。