【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「……なんだろうな~。

南々ちゃんがそういう行動とっても、『俺の彼女ほんとかわいい』ってなっちゃうんだよな~」



「………」



「何されても許せるぐらい盲目的に好きだわ。

……あ、浮気とかはさすがにヤだけど」



甘い。わたしだけにくれる言葉も。

声も瞳も甘くて……それ以上に。



「……ねえ、だいすき」



「え、南々ちゃ、」



わたし自身、制御できなくなってる。

バシャバシャと洗った手を軽くシンクについて、バランスを崩さないように背伸び。ふっと細く触れ合った吐息に、彼の頬が色づくのを見た。




「っ……」



「……だいすき、椛」



逸れて逸れてまたも料理が進まない。

このままじゃ本当にご飯が遅くなる。そうわかってるのに。わたし自身が浮かれているせいで。



「……せめて夜まで、我慢はするけど。

俺今日は、優しくしてあげられそうにないよ」



「……うん」



「……なんでそんなに可愛いの」



交わす言葉は必然的に糖度を増す。

今度は彼からのキスに、目を閉じて。離れて見つめ合って、思わず笑みを零す脳裏で、莉央に呆れたように「バカップル」と言われたことを思い出した。



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