【完】こちら王宮学園ロイヤル部
◆
なんとか夕飯は完成した。
逸れすぎて予定より1時間近く遅くなってしまったけど、無事に完成した。そして美味しかったので良し。
夕飯を作る約束は果たせた。
椛が美味しいよって言ってくれたから満足だし、また一緒に作ろうねと約束もした。
そしていまは椛がお風呂中。
先に使わせてもらったわたしはドライヤーで髪を乾かしていて。一度櫛で梳くためにオフにして置いたタイミングで、カチャと軽い音を立ててドアが開いた。
「っ、」
スウェットの上下から滲み出るこのゆるさ。
増して普段はふわふわしてる髪が濡れて萎れているせいでぺたんとしてる。そんな、あきらかにオフの姿を見て、途端に心臓が落ち着かなくなった。
「……ちゃんと乾かさねえと風邪ひくよ」
正直に言うと。
その、恋人のいちゃいちゃ自体は、はじめてではない。まあ二度目なんてわたしにとってははじめてのときとさして変わりないけども。
「はぁい。
……あっ、じぶんで乾かせるのに」
「いいから、甘えてて。
……俺がくっつくの好きなの知ってるだろ~」
ドライヤーを奪われ、後ろにまわった椛に髪を乾かしてもらう。
はじめてのときは「いい?」って尋ねてくる椛自身も緊張していたみたいで。
いまはすごくリラックスしてくれてるみたいだし、わたしも何も言わないけど。
素直にお願いすれば、髪を丁寧に乾かしてくれる椛。
「あとで椛の髪、乾かしてあげるから」
その場で約束すれば、彼がふっと笑みをこぼす。
ほぼ乾いていたから完全に乾くのははやくて、交代して椛の後ろに回ると、膝立ちの状態でドライヤーのスイッチを入れた。
少々膝立ちの状態がキツいけど。
ラグが敷かれてるから痛くないし、彼が風邪を引かないうちにさっさと乾かしてしまおう。