【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……目、ちゃんと閉じて」
「……閉じてて欲しいの?」
「なんでナナって、
俺にはそうやって意地悪なわけ……?」
好きで付き合っていたわけじゃないのと、2つ歳下だから。意地悪というか、ついつい可愛がってしまう。
それに納得がいかないらしい彼は嫌そうに顔を歪める。それすらこの顔だと綺麗に見えるから、綺麗な顔って得だ。
「ナナ……、すごい、良い匂いする」
「え? あ、夕陽のくれた香水じゃない?」
過去の思い出が詰まったネックレスは箱の中。
代わりに胸元で揺れるのはおそろいのネックレストップ。
とはいえ、できるだけペアとわかりにくいもの、だ。
仮にも4月から同じ学校に通うわたしと夕陽が同じネックレスをつけていたら、さすがにバレる。絶対誰かが気付く。
それでなくてもわたしと夕陽は生徒会が一緒で、王学の生徒会は「生徒会長の指名制」。
わたしが夕陽を指名しているのだから、それだけで色んな憶測が飛び交う。
「……知ってる。
絶対ナナに合うと思って選んだやつだし」
そのネックレスのお礼に、と彼がくれた香水。
甘いだけどさわやかで、甘ったるくないそれは誰と一緒のときにでもつけられる。
気に入っているし、今日も手首と内側と首筋につけてきた。
それに目ざとく気づいた彼は、首筋に顔を寄せて。
「なんか……だめだね」
「……え?」