【完】こちら王宮学園ロイヤル部
だめってなにが?
もしかして香水つけすぎた……?と、なんとなく不安になっていれば。困ったように、眉尻を下げる夕陽。
「俺があげた香水律儀につけてくれてんのも……
その香水がナナにやっぱり似合うのも、なんか、いろいろとクる」
「……?」
「わかってないの? もう。
……好きすぎておかしくなりそうって言ってんの」
あきれたような口調で放たれた、優しくて甘い言葉。
それを使いこなす彼の色気にも、なんだかクラッときて顔が熱い。本当に夕陽は、かっこよくなった。
「その恥ずかしがってる顔、すごい好き」
……性格はあんまりよろしくないけれども。
彼のお兄さんである夕帆先輩の言う通り、まだまだ生意気なところはあるけれども。
「もっと俺にいっぱい好きって言って。
……それ以上に言ってあげるから、俺に、独占させて」
「………」
「……、その顔、なに」
「……言ってて恥ずかしくないのかなって」
さらさら甘いセリフばっかり言ってくるものだから、なんだか恥ずかしいを通り越して逆に冷静になってしまった。
そんなわたしをじっと見つめた夕陽が「うるさい」って手の甲を口元に持っていく。顔赤いけど。
「恥ずいに決まってんじゃん。
こんなセリフ、役でもなかなか言わないよ」
でしょうね。
わたしもいくら恋愛映画だろうと、そこまで甘いセリフのオンパレードは見たことないし。