【完】こちら王宮学園ロイヤル部
あっさりと、くちびるを奪われたあと。
「……南々瀬」
そんな甘えたような声はずるい。
しかもわたしの方が目線が高いから、余計に甘えたようなその視線に、なんでも許してあげたくなってしまう。
「ドライヤー……持ってくるから……」
「お前風呂入るんだろ?」
「……そんな顔で見つめてきて何言ってるんですか」
思わず敬語にもなる。
ぜったい、その顔をすればわたしが構うって知ってるからだ。確信犯なんてタチが悪い。
「……じっとしてて」
ドライヤーを持ってすぐにもどり、スイッチを入れる。
タオルドライであっさり乾いてしまうような髪だから正直乾かさなくてもいいんだけど、冷えてしまうからと彼の髪を乾かしてあげるのはわたしの仕事。
放っておくと自分のことには無関心で。
それがひどく不安になる。
「ん、乾いた。
……わたしお風呂入ってくるから、」
「……南々瀬」
付き合ってから。一緒に住んでから。
見えてきたことは、本当に色々あって。
「……今日は、一緒に寝るか」