【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……ほんと、不思議な学校ね」
ぽつり。つぶやくおひめさま。
長い廊下を抜けて黒い扉の外に出れば、まるでファンタジーに出てくる城のようにつくられた学校。見た目も、その中身も。──いい意味でも悪い意味でも、突出したすべて。
「どういう経緯で転校生になれたのかは、知らねーけど。
そこまでなんも知らねーのに、なんで王学にしたんだよ」
尖った声で聞く莉央にはため息が漏れるけど、自分から話しかけてるだけマシか。
話しかけてる、というか、腑に落ちてない、というか。
「両親が、転校許可は出てるからって。
ほかにも行けるところはあったのかもしれないけど、わたしがここでいいって言ったから」
「……お前の親も親だな」
「どこでもよかったのよ、本当に」
その言葉に、嘘は見られない。
どこでもよかったのなら、それこそ親はこんな特殊な学校に入れる必要もなかった。異例の転校生ならば、ここが"普通"じゃないことは、わかっていただろう。
「つーか、そもそも。
……どっから転校してきたんだよ」
「あ、言われてみれば聞いてなかったな〜」
どこか遠くから転校してきたのか、それともこのあたりに住んでいたけれど違う高校に通っていたのか。
……ああでも中学のダチが王学にいるってことは、後者の可能性の方が高いか。
「……ロサンゼルスよ」
「……ん?」
「だから、1年生のときは留学してロサンゼルスにいたの。
本当はあと数年いるつもりだったけど、ちょっと事情があってこっちにもどってきたのよ」