【完】こちら王宮学園ロイヤル部
ぱちぱちと、思わず目をまたたかせる。
いまなんて言った? ロサンゼルス……?
「……帰国子女じゃねーか」
昨日の放課後、仕事で職員室の方に用事があったから、ついでに顔見知りがいる部活なんかをちらっと覗きに行ったけど。
俺を慕ってくれる女の子たちに、おひめさまのことを尋ねてみれば。
まだ転校してきて数日だっていうのに、それはもう盛大な嫌われぶりだった。
中にはまだ顔を見たこともないのに、噂に便乗して色々言っていた子もいたけど、女同士の噂なんてそんなもんらしい。
「まさかの、
ボーイフレンドは向こうにいたりして」
「どうして今日はそういう話題ばっかりなの」
探る、わけでもなく、ただ俺を見つめる瞳。
顔を見た女の子たちは確かに散々な言いようをしていたけど、それでも「顔は良い」とは言っていた。……たしかに美人だよねえ。
「ん?姫の弱みを握ろうと、」
「最低ね」
「うそだよ。
男いねえんだったら狙ってやろうかと」
「しれっと嘘つくのやめなさいね」
俺の発言が嘘だと早々に言う彼女に、くすりと笑ってしまった。
関心があるわけでもなければ無関心でもなく、媚びることもなければ必要以上の接触は求めない。でも、線を引いてるわけでもない。
ある意味中途半端、と言ってしまえば早いのかもしんねえけど。
その危うい色香は余裕とも取れるせいで、下手すりゃ本当に男が寄り付く。
……ま、我らが王様が色々と牽制してんだから、命知らずな男はそんなにいない、か。