【完】こちら王宮学園ロイヤル部
『珠王(すおう)会長がお呼びです。
本日中に、本校C棟にありますロイヤル部部室へお越しください』
繰り返します、と。
流れるアナウンスがもう一度同じ言葉を紡ぎ、わたしの呼び出しを告げる。
くいっとすぐそばにいた大和の袖を引いて「ロイヤル部って?」と小声で尋ねたら、彼はぱちぱちと瞬きしてわたしを見た。
……なんなんだ、その微妙な反応は。
「お前、ここ入る前にパンフ見てねえの?」
「パンフ……? ああ、学校の?」
見てないと告げれば、あきれた顔をされた。
それから「お前なんでここの学校選んだんだよ」と冷たい彼の声が思いの外教室に広がったことで、放送が終わっていたことに気づいた。
王宮学園。
その学校が、普通でないことは、わたしの耳に多少なりとも入っていた。けれど。
「だって、選んだわけじゃないもの」
「は……?」
「両親が、ここならわたしに向いてるし、もう転校許可も出てるからって」
ピリッと、教室の空気が張り詰める。
わかってる。今回の転校の件は異例で、その転校生であるわたしは、どう考えたって"普通"じゃない。簡単に言うのなら、異端児だ。
「それで。……ロイヤル部っていうのは?」
「……、ほかの学校で言う生徒会。
去年までは普通に生徒会でやってたけど、今年から「ロイヤル部」って名前に変わった」
気まずい雰囲気を拭いきれないまま、それでも説明してくれる大和。
生徒会。そこに呼び出しを受けたということは、わたしが転校生だから、なのか。それとも。