【完】こちら王宮学園ロイヤル部
今回、俺が特に反対しなかったのは、ただ純粋に面白いと思ったからだ。
姫探し、にも色々あるけど、いっちゃんがあれだけ一人の女に徹してるのを見てるのは面白いし、もちろん姫本人も十分面白い。
いっちゃん、放送で姫に何かあれば理事長が厳重な処罰を下す、とまで脅しかけてたしねえ。
……あれはもう完全に惚れ込んでんな。
「でも本当にいい女だよねえ? 莉央」
「……なんで俺にふるんだよ」
「この場には俺と姫とお前しかいないでしょうに」
「そういうことじゃねーだろ……」
広い学校の敷地を抜けてしまえば、スーパーまではそう遠くない。
カゴを手に取る俺に「カートいる?」と首をかしげる彼女。「ううん」と断って、若干冷房のかかった店内を歩く。
ちなみにさっきの莉央への返事がいい加減だっていうのはわざとだ。
姫も俺の「いい女」発言にしれっとしてるあたり、言われ慣れてんだろうな、こういうの。
「何から見る?
お野菜の方がレジに近いから、先にお肉の方?」
「そうだねえ。
……っていうか姫ここのスーパー来んの?」
「うん。わたしこの近くに住んでるもの」
……っつうことは、まじで学校の近くに住んでんのか。
このあたりってあんまりマンションも住宅街もねえし、あるとしても一等地に建てられた高級住宅街とかマンションだったと思うけど。
『規格外』だってことは十分わかったから、もう何を言われても驚く気はしない。
買い物も料理も頻繁にするようで、思った以上に手際が良いからあっという間に買い物は終了した。
案の定、俺と莉央だけで十分持って帰れる量だ。
わかった上でふたり連れてきたんだけどな。